「ああ、本当。こう見えて俺、大学生の時、ジャズ研でバンド組んでたんだよね」

叔父にもそんな青春時代があったんだと妙な感心をしていると、恵がパチンと両手を打ち鳴らす。

「じゃあ、バンド組もうよ。私、ピアノ弾く」

キャッキャッとはしゃぐ恵に僕は水を差す。

「何、浮かれてんの? 恵はまずは高校合格だろ?」
「そうそう、メグちゃんが受験勉強している間に、俺、めちゃんこ上手くなっとく」

チッと舌打ちするものの、恵も自分の立場が分かっているようだ。「だよねっ」とつまらなそうにしながらも納得する。

「で、幸助は健太と仲直りしたのか?」

おっと、このタイミングで?
叔父も心配していたのか、バックミラー越しに幸助に目をやる。

「う……ん、一応ね。あいつ、しつこいから」

幸助が照れ臭そうに言う。
どうやら、健太は相当しつこく謝ったらしい。

「もしかしたら、今日、会えるかも。きっと健太ビックリするぞ」

確かに。僕たちがスイーツランドに行くことは健太たちに言っていない。

「茜ちゃんもビックリするかな。会えたらいいね」

恵と幸助が顔を見合わせニシシと笑う。
本当、似たもの同士だ。