「何だよ! 僕の何が悪いって言うんだよ」

食事を終え、自宅に帰りゴロッとソファーに横になる。

喧嘩は当事者の問題だろ? まして子どもの喧嘩だ。放っておいてもそのうち仲直りするってもんだ。

茜だってそうだ。何で僕が恵に謝らなきゃいけないんだ?
僕は親切にあいつの将来を心配して言ってやっただけなのに。

これじゃあ、どれもこれも僕ばかりが悪者じゃないか!
「クソッ!」とソファーの上で足をバタバタさせる。

だが、しだいにその足がソファーの背にダラリと下ろされる。

――何がいけないんだ?
怒りよりも疑問が沸いてきた。

そりゃあ、塾の責任者は僕だけど……あいつらのプライベートまで知るかよ。

恵だって、勉強しなきゃ目指す高校に受からないじゃないか。
いくら母に頼まれたとしても、今は自分のことじゃないのか?

だいたいお節介なんだよ。
僕はもう高校生だ。あいつらみたいに子どもじゃない。だから僕のことは放っておいて欲しい。

――子どもじゃないと僕は思うけど、でも……叔父から言わせると、そんな僕は子どもらしい。

分からない! 考えろって……何を考えればいいんだ?

堂々巡りのまま眠りに就き、覚えていないが、変な夢を見て、一晩中うなされた。