僕と家族と逃げ込み家

それでもあとが怖いので、しっかり指令は守る。

「叔父さん、二人がいない間に売り上げを伸ばして見直させよう! これはチャンスだよ」

「チャンス?」

うーんと考え、「……そうかもな。うん、そうだ!」叔父は息を吹き返したようにキビキビと動き出した。

結構、単純なんだよねこの人。

「トヨ子ちゃんのために頑張るぞ!」

ああ、せいぜい頑張って! きっとそのうちいいことがある……と思う。



そんな感じで叔父がやっと持ち直したと思ったら……何だ、このドンヨリした空気。

「健太、何かあったのか?」
「何もないよ」
「幸助、機嫌悪いな」
「どこが!」

どこがって、不機嫌オーラ全開じゃないか。

「今ね、健太と幸助君ね、喧嘩中なの。それも、本当につまんない理由で!」
「お姉ちゃん、うるさい!」「茜、黙ってろ!」

二人が同時に声を上げる。こういうところは息がピッタリなんだけどな。

「茜はサッサと学習塾に行け!」

幸助が怒鳴る。

「あそこはゴールデンウイーク中はお休みなの。今日はここでお手伝い」

そう、茜は学習塾の休みのたびにここに来る。
これも勉強だ、と自ら進んで。本当、彼女はできたお子だ。