僕と家族と逃げ込み家

幸助の言葉にケラケラ笑う叔父と逢沢さん。

「本当に楽しいね。子どもって」

「本当に」と二人が笑い合っていると、健太がパタパタと幸助に走り寄る。

「あっ、寝癖付いてる!」と言いながら、僕がカウンターに用意をしたウォーターグラスとカトラリーを手に持つ。

「健太、お前、何食べるんだ?」
「ハンバーグ。幸助は?」
「勝った! 俺のはエビフライも付いてんだぞ」

何の勝負をしているんだ。本当、負けず嫌いな奴。

「幸助も手を洗ってこい」

僕の言葉に「来る前に洗ったのに」とブチブチ文句を言いながら洗面台に向かう。

「……こんにちは」

小さな声が背中の方で聞こえ、振り返る。

「おっ、亮。爺ちゃんの具合はどうだ?」

叔父が訊ねる。

小笠原亮。小学五年生にしては小柄で線の細い、子どもらしからぬ冷めた目をしたインテリタイプの子だ。

「ありがとうございます。風邪でした」

畳屋の源さんこと源治さんは、商店街でも有名な昔気質の頑固爺さんだ。

『仕事があるうちは絶対にやめん!』と七十六歳ながら、現役の頃と同じように働いているが、数日前から加減が悪く寝込んでいると亮から聞いていた。