僕と家族と逃げ込み家

「ねえ、電話する?」

リビングを落ち着き無くウロウロと動き回る母。

「ちょっと鬱陶しい! 早く書かないとまた編集さん……その前にトヨ子ちゃんに怒鳴られるよ」

「そのトヨ子ちゃんよ。来ないじゃない! どうしたのよぉ」

時間が経つにつれ、母のイライラバロメーターがグングン上がっていく。

トヨ子ちゃんに頼りきっている母は、トヨ子ちゃんという存在にかなり依存していると思う。

「雑誌社にでも寄ってんじゃない?」
「そんなこと言ってなかったもん」

面倒臭そうに答えると、母は涙ぐみながら地団太を踏む。
子どもか!

「じゃあ、風邪でもひいて休むんじゃない?」
「トヨ子ちゃんが風邪をひくわけないじゃない!」
「ひくだろう!」

サイボーグじゃないんだから。まっ、サイボーグみたいだけど。
つい突っ込んだら、途端にバシリと後頭部を叩かれる。

「いったぁー! 暴力反対!」

バカになったらどうするんだと突っ込もうとした時、玄関の方からピッと鍵の開く音がした。そして、カチャンとドアが開く音と共にパタパタと廊下を走る音がした。

「トヨ子ちゃんだ!」

母と合唱したと同時にリビングのドアがバンと開く。

「先生、遅くなりましたぁ」