先週開いたお別れ会は、なぜか映画の打ち上げとブッキングして、『逃げ込み家』は今世紀最人数の入りでハチャメチャだった。

いつもああならトヨ子ちゃんも安心するだろうに……結局、あの日だけだった。

そして、この期に及んで『さよならなんか、やだやだ!』と幸助がごね、『もう知らん!』と放っておいたら、『僕も厭だ。だから幸助、またな……また会おう』と亮が慰めていた。

あの時の亮は一回りも二回りも大きくなったように見えた。

人間って、困難を乗り越えると成長するんだなぁ、とどこかで聞いたことがあるような台詞を思い浮かべてしみじみしたり、僕自身もかなりメンタルが弱くなっていたと思う。

そんな僕とは対照的に、亮の言葉に幸助はようやく納得したみたいだ。

『分かった! 俺、二胡とアメリカに会いに行く!』

そう言って二胡に『行こうな』と笑っていた。その様子がいつもの幸助でホッとするやら笑えるやら。そんな僕の横で笹口が美山に『俺たちも行こうな』と約束していた。もう勝手にしてくれと思っていたら、なっ何と亮まで……。

『茜ちゃん、僕、茜ちゃんが好き。もっともっと大きくなるから、待っていて』

――と告白したのだ。これには本当ビックリだった。

なのに、恵が『やっと』と横で呟いたのだ。知っていたのかとこれまた仰天した。やっぱり女って……侮れないと改めて思った瞬間だった。