僕と家族と逃げ込み家

それから僕は皆と別れて自宅に戻り、いつの間にか眠っていたらしい、気付くと辺りは真っ暗だった。

「嘘っ」と慌てて起き電気をつける。「寒っ」と震えながらサイドテーブルの上のスポーツドリンクに気付く。おまけに額には冷却シート。

そして、寒いのは当たり前だった。クーラーがガンガンに効いていたのだ。

そう言えば……と寝る直前のことを思い出す。
トヨ子ちゃんにガバガバ飲まされた。

『軽い熱中症みたいですね』そんなことを言っていたような……ほら、みろ! 歳なんかじゃなくて熱中症だったじゃないか!

時計を見ると午後十時。
どれだけ寝たんだと自分で自分に感心する。

そう言えば……亮はどうなった?
モソモソとベッドを抜け出し、クーラーを切るとリビングに向かう。

「やっぱり、ダメだったわね」

ドアの隙間から話し声が聞こえる。

「でも、あれは源さんの意思ですよね?」
「そうなのよねぇ、そうなんだけどねぇ」

トヨ子ちゃんと喜子さん?

「源さんも自分亡き後を考えて、明穂ちゃんに手に職を付けてもらいたかったみたい。ほら、明穂ちゃんって年いってからできた子だし、奥さん早くに亡くしているし」

その後に続き、母の声が聞こえる。

「他に身内がいないって言ってたもんね」
「だから、明穂さんのこと追い出したんですか?」

トヨ子ちゃんが訊ねる。