僕と家族と逃げ込み家

父と母は相思相愛で結婚したらしい……が、たぶん母の方がより想いは強かったと思う。

現に、韓流スターにキャーキャー騒ぐ同世代の熟女を、シラッと白けた眼でいつも見ている。

あれだけイケメン好きなのに。

そして、『はん! あんな生っちょろい若造より、貴方の方がずっとステキ!』と遺影にウインクを送っている。

父さん――死して尚だね。

「それにしても、ねえ、父さん、どう思う? エッチな小説は無理やり聞かせるし、食事なんてまともに作ったことがないんだよ」

文句を上げれば切りがない。

「全部、トヨ子ちゃん! トヨ子ちゃんがいなかったら、我が家はあのゴミ屋敷も真っ青ぐらいに荒れていたと思う」

トヨ子ちゃんは我が家の救世主だ。

「そりゃあ、母さんが小説を書かなかったら今の生活はなかったけど……」

それは認める。だが……。

「何でも小説のネタにするんだよ。僕のことを一から十まで観察しているんだ。プライバシーもあったもんじゃない!」

先週刊行された小説。あれに出てくる入浴シーンの男。あのモデルは僕に違いない!

お尻にある黒子の位置までピッタンコって、有り得ないだろう。
まっ、あれは後で、赤ん坊からある黒子だと分かってホッとしたが。