「亮と茜が結婚したら皆で兄弟になれるぞ!」

途端に亮の白い肌が赤く染まる。
あれっ、何? その反応。

「おぉぉ! ナイスアイディア!」

健太が飛び跳ねて喜ぶ。

「今日帰ったら、茜に言っとく」
「ダメ!」

今まで黙っていた亮が珍しく声を荒げる。
驚く健太と幸助。

「どうしてダメなの?」と聞いたのは二胡だ。

「ダメって言ったら、ダメなの!」

いつになく強い調子で言い放つ亮に健太が怒り始める。

「亮は僕と兄弟になるのが嫌なんだ! 亮なんか大嫌いだ!」

いったいこの状況は何だ?
今までの話は『もしも』話じゃなかったのか?

「ストップ、ストップ! そろそろ昼にしよう」

現実と空想がごちゃ混ぜだ。腹が減ると人間ろくでもないことを考えるものだ。サッサと何か食べさせよう!

「俺、ハンバーグとエビフライ。今日はなぁ、母ちゃんが亮とそれ食べなさいってお金くれたんだ」

いち早く幸助がカウンターに飛んで行く。

亮は源さんが亡くなってからまた痩せた。だからだろう。喜子さんも亮の体を気遣い、あの手この手で食べさせているようだ。