「おっ、けっこう順位上がったじゃないか! えらいえらい!」

恵の成績表を見ながら褒め称える。

テヘヘと少し照れながら、恵は「やればできる子だから」と自分で自分の頭を撫でる。

「ところで、守さんとトヨ子ちゃん、上手くいってよかったね」

大宴会の最中に、叔父は見事なダイヤモンドをトヨ子ちゃんに贈った。指輪じゃない石をだ。そして、その時点で婚約と相成った。

そのダイヤモンドは、世界各国を放浪していた時に自分で採掘したらしい。それを自分で加工して将来の伴侶に贈ろうと用意していたみたいだ。

案外、ロマンチストな人だ。
今、その石を指輪にしてもらっているらしい。母が羨ましがっていた。

「結婚式については打ち合わせ中みたいだけど、籍は近々入れるみたいだ」

そして、一緒に住むらしい。
3LDKが無駄にならず、本当によかった。

「とんとん拍子に行く時はいくものね。そう言えば、美山さんと笹口さんもよかったね」

「えっ!」と恵の顔を見る。
何だ、その我知り顔は!

「知らないと思ってたの? 美山さんが笹口さんのことを好きだってこと」
「……知っていたのか?」

じゃあ、美山が……。

「当然でしょう、トヨ子ちゃんも真理さんも知ってるわよ。真理さんなんて美山さんの隠れ信者なんだから」

信者って何だ? 女って……侮り難し!

「誰にも言っていないだろうな!」
「当たり前でしょう、私たちの口はそんな軽くないわよ!」

「そうなのか?」と疑いの眼を向けた途端、ゴチンと拳固を落とされる。