僕と家族と逃げ込み家

「今日は部活は休む。一緒にきて」

そして、笹口を伴いやってきたのは商店街。
この間と同じようにコンビニの椅子に腰を下ろす。

間に合ったみたいだ。
下校中の小学生たちが目の前を通り過ぎて行く。

でも、時間は同じぐらいなのに、あの時見た光景とは違う。大人並みに大きな子がランドセルを背負って目の前を過ぎていくからだ。そこで、ああと気付く。集団下校かと。

「あっ!」

目ざとく僕たちを見つけた健太が駆け寄って来た。
その後に亮も続く。

二人に「お帰り」と声を掛けると、声を揃えて「ただいまぁ」と元気良く返事をする。

「幸助と二胡は?」
「もうすぐ来るんじゃないかなぁ」

今来た方向を見ながら健太が言う。

「幸助は、二胡ちゃんに合わせてゆっくり歩くから遅いんだ」

亮が説明していると、健太が「来たよ」と言って手を振る。

見ると、幸助が二胡と手を繋ぎやって来る。
その身長差に笑みが零れる。

近付くに連れ、二人の表情が明らかになる。
とても楽しそうだ。

「あっ、先生!」

幸助が僕に気付く。それでも、いつものように駆け寄ってこない。
あくまでも足の悪い二胡の歩幅に合わせてゆっくりだ。

まるで小さなジェントルマンだな、と頬が緩む。