だが、待てど暮らせど一向に何も言わない。
おいおい、どうしたっていうんだ?
黙ったままの笹口を訝し気に見ていると、たっぷり三分は経った頃、笹口がようやく口を開いた。
「……春太、俺、病気かもしれない」
「どうした! どこか悪いのか?」
驚いて訊ねると、笹口は大きな図体を前屈みに丸めて大きな溜息を吐く。
これは大変だ! サッと顔が青ざめる。
「あの日……美山にキスして叩かれてから……胸が死ぬほど痛いんだ」
一瞬時間が止まった。それから我に返ると、思わず「はぁぁぁ」と声を上げ、笹口を穴が開くほど見る。
「……俺、死ぬかも。美山を怒らせたからか……罪悪感から癌になっちゃったのかも……」
ブチブチいろいろ言っているが――バカか! それは恋だと思わず叫びそうになる。が、僕が言っていいことなのか?
前々から思っていたが、笹口は無意識下では美山のことが好きだ。
それがあの件で表面化しつつあるのだが、本人がそれに気付ていない。
本当、何て鈍感ヤローなんだ。
「なぁ、笹口、お前って今まで人を好きになったこと本当になかったのか?」
「ない!」
両手で顔を覆い項垂れる姿は……まるで雨ざらしの子犬だ。
純情俺様ヤローを目前にし、さて、それを自覚させるには……としばらく考え、アッと閃く。
おいおい、どうしたっていうんだ?
黙ったままの笹口を訝し気に見ていると、たっぷり三分は経った頃、笹口がようやく口を開いた。
「……春太、俺、病気かもしれない」
「どうした! どこか悪いのか?」
驚いて訊ねると、笹口は大きな図体を前屈みに丸めて大きな溜息を吐く。
これは大変だ! サッと顔が青ざめる。
「あの日……美山にキスして叩かれてから……胸が死ぬほど痛いんだ」
一瞬時間が止まった。それから我に返ると、思わず「はぁぁぁ」と声を上げ、笹口を穴が開くほど見る。
「……俺、死ぬかも。美山を怒らせたからか……罪悪感から癌になっちゃったのかも……」
ブチブチいろいろ言っているが――バカか! それは恋だと思わず叫びそうになる。が、僕が言っていいことなのか?
前々から思っていたが、笹口は無意識下では美山のことが好きだ。
それがあの件で表面化しつつあるのだが、本人がそれに気付ていない。
本当、何て鈍感ヤローなんだ。
「なぁ、笹口、お前って今まで人を好きになったこと本当になかったのか?」
「ない!」
両手で顔を覆い項垂れる姿は……まるで雨ざらしの子犬だ。
純情俺様ヤローを目前にし、さて、それを自覚させるには……としばらく考え、アッと閃く。


