僕と家族と逃げ込み家

それが分かったのは、その日の夜だった。
もう、聞いてビックリ見てビックリ!

何と、綾小路の爺様と母はグルだったのだ。
母を潰すどころか爺様は母の大ファン!

「私の演技、アカデミー賞ものだったでしょう?」と宣う母。

今回のお見合い相手は叔父。二人があんなふうにくっ付かなくても、最終、収まるところに収まることになっていたようだ。

「でも、やっぱりお見合いより告白の方が嬉しいじゃない」

結局、僕たちは、爺様と母に踊らされていた、ということだ。

そして、読み聞かせも……この先も続き、僕の平和は空の彼方に消えた、というわけだ。なんてこった!

 ◇◇◇ ◇◇◇

叔父の件はとにかく一件落着したが……美山と笹口の間はまだギクシャクしていた。

夏休み前に仲直りできたらいいのだが……。

そんなことを思いながら部室に向かおうとした時、「おい、春太」と呼び止められる。

「笹口か、何?」

再び歩みを進めると、後ろから笹口が付いてくる。

「ちょっと話したいんだけど」

珍しいこともあるもんだ。

「いいけど」と返事をすると、いつの間にか僕が笹口の後を付いて行く、みたいになっていた。

笹口が向かった先は体育館裏。そこに置いてある椅子に座る。