僕と家族と逃げ込み家

それにしても叔父のあの顔……夏場に鬱陶しい!
甘々デレデレで胸焼けしそうだ。

「姉さん、春太、ありがとう」

叔父とトヨ子ちゃんが並んで頭を下げる。
おぉ! 何てレアな光景なんだ。

二人がどんな話しをしてこうなったかは分からないが、最初から思い合っていたんだ、お互いが素直になれば……こうなるのは火を見るよりも明らかだった。

「で、これから綾小路家に挨拶に行ってくる」

何というスピード展開。
トヨ子ちゃんがポッと頬を染める。初めてトヨ子ちゃんが乙女に見えた。
よく見ると……美男美女。似合いのカップルだ。

「綾小路家には連絡を入れたの?」
「ああ、取り敢えず、話は聞くとのことだ」
「トヨ子ちゃん、本当にいいの? こんなんで」

おいっ、自分が焚き付けたんだろ。何を今更!

「先生、ご心配には及びません。私、常日頃から奉仕の精神だけは忘れず発揮しておりますので」

それは、叔父との結婚がボランティアだと言っているのか?

でも……と思い出す。
以前、偶然、駅前で目にした光景……あれには恐れ入った。