僕と家族と逃げ込み家

母の滅茶振りな提案に、叔父もバカバカしくなったのか笑い出す。

「姉さんと話していると清水の舞台から飛び降りるまでもなく、やった者勝ちみたいな気がしてきた」

気が軽くなったのか、「じゃあ、ちょっと行ってくるわ」と軽い調子で言いながら、叔父が立ち上がる。

「行ってらっしゃい」

母と共に僕は手を振る。その後ろ姿は、さっき布団に丸まっていた人と同一人物には思えないほどキリリとしていた。

ガチャンとドアが閉まると、TVのレポーターの声だけが部屋に響く。
僕と母は再び食事を開始する。

「トヨ子ちゃん、素直に叔父さんの言うこと聞くかなぁ?」
「どうだろうね」

母の目線の先には叔父が半分残したオムライスがある。

「やっぱり、勿体ないから食べてあげようっと」

喜々と手を伸ばして、すっかり空になった自分の皿と入れ替える。

「母さん、ダイエットはどうなったの?」

言った途端、ギッと鋭い視線が飛んでくる。

「明日から!」

なるほど、諦めたのだなと理解して僕は無言でスプーンを口に運ぶ。

 ◇◇◇ ◇◇◇

小一時間程して叔父は戻ってきた。トヨ子ちゃんと手を繋いで。

「あらっ、清水の舞台から飛び降りても、死なずに生き返ったようね」

ゾンビか!