着替えを済ませた叔父がリビングに顔を出す。
かなりご機嫌斜めだ。

「まぁ、ボチボチね」

そう言いながらも母は満足そうだ。
それにしても……叔父の顔、やつれたような気がする。

当然、母も気付いたのだろう。
「あんた、痩せたわね……羨ましい」と溜息交じりに言う。

おいおい、いくら夏前にダイエットに失敗したと言っても、不謹慎だろう。

「まっ、そんなことだろうと思って、材料を持って来たわ」と母はエコバッグを叔父に押し付ける。

「オムライス、作って!」

作ってあげると言わないところが母だ。
まぁ、母がキッチンに立ち、破滅的に散らかされて困るのは叔父だろうが……。

母に反抗しても無駄だと知っているので、叔父は言われた通り渋々ながらも調理を始める。

叔父の部屋は3LDKで、独り身の叔父には十分すぎる広さだ。
ここを叔父は家族割りで買った。

どうも、トヨ子ちゃんとの将来を考えてこの部屋にしたみたいだが……無駄にならなきゃいいけど。

僕と母は食事ができるまで、冷蔵庫にあったアイスコーヒーを飲みながらテレビを見る。

旅番組? 可愛いレポーターが抹茶アイスを頬張る。見覚えのある場所ばかりだけど……流れる風景は美しく、そこかしこでレポーターが美味を紹介する。

どれも美味しそうだ。