母は昔から叔父には容赦ない。
まぁ、僕にもだが……。

「臭い! 汚い! 何日お風呂に入っていないの!」

「サッサとおいで!」と叔父の耳を引っ張ったまま母はバスルームに向かう。

「春太、下着持ってきて」

今は絶対、母には逆らわない!
早速にクローゼットから下着を出して脱衣所に持っていく。

「いい! 隅から隅までしっかり洗いなさいよ! 髭も剃ってピカピカになって出てくるのよ! じゃなきゃ、何度でもお風呂に入ってもらうからね!」

バチンと脱衣所のドアを閉めると今度はウォークインクローゼットに向かう。
戦いに向かう武士のようだ。勇ましい!

母はブツブツ言いながらハンガーに掛かる服を品定めする。

いったい何をしようとしているのだろう? 奇想天外摩訶不思議の行動。母の思いが全く分からない。

首を傾げ見ていると、母は淡いブルーのシャツと白い綿のパンツを手に取り、「これでいいか」と独り言ちる。

そうこうしているうちに叔父がサッパリした姿で戻ってきた。

「ほら、これを着て」

有無も言わさず、手にした服を叔父に押し付ける。