「何を?」
「……うん、あのね……私、トヨ子ちゃんの気持知ってるんだ」

もしかしたら……。

「トヨ子ちゃんねっ、守さんのことが好きなんだよ」

やっぱり。

「それ、本人に聞いたのか?」
「うん。前にね。ちょっといろいろ相談してて、その時にね……」

恵が恥ずかしそうに頬を染め、下を向く。
初めて見る、その乙女のように恥じらう姿にトグンと胸が鳴る。

なっ何だ! 今の反応。この間から変だぞ。俺、しっかりしろ!
ブルンと頭を振り、余計な思いを弾き出す。

「相談って、厭らしいことだろ?」

胸のドキドキを悟られないように茶化す。

「……そんなんじゃないもん」

恵は顔を上げず、小さく言う。

「そっかぁ、やっぱりだったか」
「春太、知ってたの?」
「何となくね」
「本当は両想いなんだよ。なのに、見合いなんて……」

恵の言わんとするとこは分かる。僕も同じだ。

「叔父さんが告白すればいい話なんだけどね」
「もしくは、トヨ子ちゃんからね」

恵と二人、深く頷き合い、どうしたものかと考える。