トボトボ家に向かって歩いているといきなり背中をバシンと叩かれる。
「春太ぁ!」
恵だ。物凄く機嫌が良い。
「お前なぁ、痛いだろう」
顔をしかめる僕に、恵は「気にしない、気にしない」と節を付けて言う。
何だかメチャクチャ力が抜ける。
「――で、テストはどうだ?」
まぁ、この態度で分かるが、一応訊いてみる。
「バッチリ!」
語尾に音符マークを張り付け、恵がピースサインをする。
「もうねぇ、自分で自分が怖くなるぐらいできたの。もしかしたら、私、天才かしらって思っちゃった」
ドヤ顔で宣う恵に僕は呆れ顔で言う。
「天才さん、その台詞は高校合格の時に言ってくれ。調子に乗るんじゃないぞ」
軽く恵の頭に拳固落とす。
「もう!」と唇を突き出して「分かってるもん、それぐらい」とプッと膨れ頭を撫でる。
肩を並べ歩いていると、「ねぇ」と突然恵が神妙な顔で僕を見上げる。
「トヨ子ちゃん、結婚するの?」
逢沢父から聞いたのだろう。
「……分からない」
「そっかぁ」とそれっきり恵は黙り込む。
「あのねっ」
それから少しして、また恵が口を開く。
「守さんには黙ってて欲しいんだけど……」
「春太ぁ!」
恵だ。物凄く機嫌が良い。
「お前なぁ、痛いだろう」
顔をしかめる僕に、恵は「気にしない、気にしない」と節を付けて言う。
何だかメチャクチャ力が抜ける。
「――で、テストはどうだ?」
まぁ、この態度で分かるが、一応訊いてみる。
「バッチリ!」
語尾に音符マークを張り付け、恵がピースサインをする。
「もうねぇ、自分で自分が怖くなるぐらいできたの。もしかしたら、私、天才かしらって思っちゃった」
ドヤ顔で宣う恵に僕は呆れ顔で言う。
「天才さん、その台詞は高校合格の時に言ってくれ。調子に乗るんじゃないぞ」
軽く恵の頭に拳固落とす。
「もう!」と唇を突き出して「分かってるもん、それぐらい」とプッと膨れ頭を撫でる。
肩を並べ歩いていると、「ねぇ」と突然恵が神妙な顔で僕を見上げる。
「トヨ子ちゃん、結婚するの?」
逢沢父から聞いたのだろう。
「……分からない」
「そっかぁ」とそれっきり恵は黙り込む。
「あのねっ」
それから少しして、また恵が口を開く。
「守さんには黙ってて欲しいんだけど……」