「でも……」と反抗しようとする彼女の鼻先に人差し指を突き当てて言葉を制する。

「戯言をほざく暇があったら一問でも問題を解け! 時間が勿体ない」

そう、僕は鬼になることにした。

幸助が……美山が……笹口が、自分の信じる正義を貫き前へ進むなら、僕も負けてはいられない。

たとえどんな結果になろうと、恵を後方支援することに決めた。

志望校を曲げさせて合格圏内の高校を勧める……ではなく、行きたい高校に合格できるように!

だから、今は恵に恨まれてもいい。
合格発表の日、悲しみの涙ではなく喜びの涙を見られたら……それでいい!

「春太のバカ! アホー! お前の母さん出ぇベーソー!」

小学生か!

「恵、僕の母さんは真理さんだけど……?」

ウッと息を飲む恵。
フン、グウの音も出ないだろう!

そんなバトルを繰り返しながら、僕が立てたスパルタ計画は着々と進んでいく。

恵、頑張ろうな!
微笑みが浮かぶその日まで……。