「どこで?」
「うんと……公園のベンチで……でも……」

亮は眉を八の字にして、しょんぼり項垂れる。

「でも、何だ?」
「うん。その前に大きい三人のお兄さんが……美山先生のことをイジメてた」

そして、なぜか「ごめんなさい」と消え入りそうな声で言う。

「どうして、亮が謝るんだ?」

笹口が問うと、亮は項垂れたまま申し訳なさそうに言う。

「……だって、僕も幸助みたいに助けなきゃいけなかったんでしょう?」

なるほど、昨日のあの場面を亮も見ていたのか。

「いいや、それはダメだ」

『どうして?』というように亮は八の字眉のまま小首を傾げる。

「いくらなんでも、小学生が高校生に向かうのは無謀だ」

亮の頭上に掌を置き、その瞳を覗き込む。

「もし、お前に何かあってみろ……源さんが泣くぞ。それに、美山も喜ばない。僕もだ」

「ああ、そうだぞ」と笹口が大きく頷く。

「こうやって、俺たちにそのことを教えてくれた。それだけで十分だ。俺たちが美山の敵討ちをするから安心していろ!」

その瞳は怒りで燃えている。
怖っ! 知らないぞ、こいつを本気で怒らせた奴。

それにしても……何があったんだろう?
美山は表面弱々しく見えるが、芯はしっかりしている。そんなあいつが泣くなんて……。