「まぁ、大切な人を悲しませたくないという春君の気持ちも分からなくもないけどね」
美山がうふふと可愛く笑う。
「……ん? 大切な人? 誰が誰を大切だって?」
「春君が恵ちゃんをだよ」
「はぁぁぁ!」
こいつは何をいってるんだ、と美山を見る。
奴は小首を傾げてぶりっ子ポーズを取りながら僕を見つめ返す。
ああ、殴りたいほど可愛いじゃないか!
だが、そんなのに誤魔化される僕じゃない。
「お前の思い違いだ。あいつを一度だってそんなふうに思ったことはない」
「今までは……でしょう?」
「これからも! だ」
フフンと悪戯天使みたいな顔をして、美山は「それは分からないよ」と自信たっぷりに宣う。
こいつ、今日はどうしたんだ? そう思ったのは僕だけじゃないみたいだ。
「美山、お前、何か変だぞ」
笹口が美山の額に手を伸ばす。それをどうしたことか美山は跳ね除ける。こんなこと初めてだ。笹口も驚いたのだろう、ポカンと口を開けて美山を見つめる。
「哲ちゃん、これからはもう僕にベタベタ触らないで」
嘘っ! この展開は何だ?
笹口はショックで口もきけないようだ。
美山は何事もなかったかのように唐揚げを頬張る。
――夏なのに……二人の間に冷たい隙間風が吹く。
美山がうふふと可愛く笑う。
「……ん? 大切な人? 誰が誰を大切だって?」
「春君が恵ちゃんをだよ」
「はぁぁぁ!」
こいつは何をいってるんだ、と美山を見る。
奴は小首を傾げてぶりっ子ポーズを取りながら僕を見つめ返す。
ああ、殴りたいほど可愛いじゃないか!
だが、そんなのに誤魔化される僕じゃない。
「お前の思い違いだ。あいつを一度だってそんなふうに思ったことはない」
「今までは……でしょう?」
「これからも! だ」
フフンと悪戯天使みたいな顔をして、美山は「それは分からないよ」と自信たっぷりに宣う。
こいつ、今日はどうしたんだ? そう思ったのは僕だけじゃないみたいだ。
「美山、お前、何か変だぞ」
笹口が美山の額に手を伸ばす。それをどうしたことか美山は跳ね除ける。こんなこと初めてだ。笹口も驚いたのだろう、ポカンと口を開けて美山を見つめる。
「哲ちゃん、これからはもう僕にベタベタ触らないで」
嘘っ! この展開は何だ?
笹口はショックで口もきけないようだ。
美山は何事もなかったかのように唐揚げを頬張る。
――夏なのに……二人の間に冷たい隙間風が吹く。


