それから恵美さんに、これから住む部屋に案内された。
「ごめんなさいね、こんな小さい部屋で…」
「いえ、大丈夫です。充分です。」
確かにこんな豪邸にこんな小さい部屋があるんだ…って思えるくらい狭くて、
でも私が昔お母さんと住んでた部屋よりは広い。
暖房と冷房は…ないか。
でも寝る場所があるだけ助かるな。
私は恵美さんに「ありがとうございます」と告げて自分の持ってきた少ない荷物を整理した。
しばらくして、
コンコン…
あれ?恵美さん、何か言い忘れたのかな。
「どうされましたか。」
そう言って扉を開けると、
「うわ、狭すぎだろ。」
「ゆ、雄星さま!?」
「その呼び方やめろ。雄星でいい。」
「で、でも……」
「これは命令だ。俺の言うことが聞けないのか?」
「いえ。では…せめて雄星くんと呼ばさせて頂きます。」
呼び方を少し変えるだけでも奥さまに怒られそう。

