「まず、私達が帰ってくる時には必ず玄関で出迎えて。」
「はい。」
私は自分の持参したノートに言われたことを書き込んだ。
「あと、夕ご飯は必ず手作りよ。
うちの旦那体があまりよろしくないの、
だから料理には気を遣いなさい。」
「はい。」
そしてそれから何個か注意事項を言われ、
「最後になるわ。うちの息子、雄星とは絶対に仲良くならないで。」
「え…?」
「あの子には婚約者がいるの。あなたみたいな貧乏人とあの子が仲良くなると困るわ。」
「……ずいぶんハッキリおっしゃるのですね」
「当たり前じゃない。ここに住まわせてあげるだけでも感謝しなさい。」
確かにこの人の言う通りだ。
なにも言い返せない。
私はただ、
「畏まりました。」
それしか言えなかった。

