「お母さま、おかえりなさいませ。」
近くにいた恵美さんが頭を下げた。
え……
ここの奥さんだったんだ。
「愛華さん、ちょっとこちらにいらして。」
私は早速奥さんに呼ばれた。
すると恵美さんが私の側に寄ってきて、
「愛華ちゃん、私のお母様、かなり怖いの。言葉遣いと…態度には気をつけてね?」
「あ、そうなんですか。わかりました。」
雄星くんは、お母様に似たのかな。
そして客室のような場所に連れて来られると
「愛華さん、ここに座って。
これからここで働くにあたって、注意事項を話しておくわ。」
「は、はい。」
私は高そうな椅子に静かに腰を下ろした。

