夫が死んだあの日から、丸三年が経った。

借金残して死ぬなんて今時ドラマでも中々目にしないと思う。

だけどそんな非現実的なことが私の身に降りかかったのも三年前で、あの日一本の電話に出た時から、全ての歯車が狂っていった。


『もしもし、藤井さんのお宅ですか?
実は旦那様が……、ええ、すぐにいらしてください……』


あれから毎日、夫が残した多額の借金返済のために死に物狂いで働いている。


「藤井さん、こっちもお願いね」

「はいっ…」


日中は図書館、夜は居酒屋の洗い場で働いている私は、只今絶賛食器洗い中だ。

先輩の佐伯さんに急かされながら、首筋に流れる汗をぬぐった。


────酷い手荒れ。


自分の手を見てそう思う。