雨の日、綺麗に咲く花は



おでこを何度もさする田辺くんはとても社会人とは思えなくて、まるで高校生みたいな幼さだった。


「人のことばかり言ってないで、ちゃんと仕事しなさい」

「……花さん手厳しい」

「返事は?」

「……はい」

「よろしいっ…、ふふ」

「花さん何笑ってるんですかー」

「だって田辺くんのおでこ真っ赤…っ」

「花さんがやったのに…」

「ごめんねっ…、ふふ」

「あー…、超痛い」


そんな風に笑っていると、ふと誰かの視線を感じた。

周囲を見渡してみると、あの高校生の男の子がこちらを見ているようだった。

目が合った瞬間に視線はすぐに逸らされたけれど、再び視線を合わせるとこちらに向かって歩いてきた。