不思議な余韻に浸りボーっとしていると、
「あれ、花さんお昼まだ行ってなかったんですか?」
「田辺くん…」
様子を見に来ていたのか、田辺くんに肩を叩かれた。
「どうかしたんですか?花さんがボーっとするなんて珍しい」
「今高校生が、」
「高校生?」
「……」
「花さん?」
「ううん、何でもない。お昼行ってくるね」
「……?」
変に思っているであろう田辺くんを残し、私はその場を後にした。
別にさっきのことを隠さなきゃいけない理由なんて何一つ無い。
田辺くんに言っても何の問題も無いのに、何故か言う気になれなかった。
「…ふふ、変なの」
自分でも訳が分からなくて笑ってしまう。
きっとあの不思議な男の子の所為だ。
いつもの日常の中で、急にイレギュラーなことが起きたから。
きっとそうだ。

