「違うよ、あたしのところにも入ってたの」
誰が…と言うことより、気になることがひとつ
ある。
どうして、わざわざ真っ白な手紙を毎日入れて
いるのか。
楓によると文化祭明けの登校日からはじまった
らしい。
意味もなく、ただのいたずらなら、こんなに地
味にやるかな?
悪意があるなら、もっと、嫌がるような事をす
るだろうし…。
「お前、それいつもどうしてる?」
「どうしてるって、」
わかんないよ、覚えてないよ。
だけど楓が代わりに答えてくれる。
「聞いてよー、佐藤!この子ね、いつもこんな
変な手紙を大事にしまって大切に残してあるん
だって!おかしいよね、あたしが捨てなよって
言っても聞かなくてさ」
そうなんだ、やっぱり。
今のあたしが覚えてないあたしも、同じように
感じて、大切にしてたんだ。
「お前もか、俺もこれ、捨てられないっつーか
、捨てたくないんだよな」
…佐藤くんが、今一瞬苦しそうに顔を歪めた。
だけどそれは本人も気づいていなかった。
_____ガタガタッ
学校が終わってすぐに家に帰って引き出しを
開ける。
すると溢れるように出てくる大量のあの手紙。
1枚1枚、中を見て確かめていく。
けれどすべて真っ白な紙でなにもない。
本当に、ただの、紙だ。
?
ふと、1枚の手紙が目にはいる。
なんだろう、なんか、あの手紙だけ色が違う。
淡い水色の便箋。白に限りなく近い便箋。
手に取り、丁寧に開いてみる。
中には、真っ白な紙なんかじゃなくて、びっし
りと真実が書かれた紙があった。