二人で並んで座ったベンチは、少し錆びてい

て、ひんやりしていた。


沈黙が私たちを包む。


「ずっと前、俺は、お父さんと二人で、

 家を出ていったんだ。

 お母さんが病気だったろ?


 お父さんは日に日に弱っていくお母さん
 
を見ていられなくて、寒い夜



 俺と一緒に家を出たって言ってた。」


私は、なにか、あたまに引っ掛かったが、


そんなのどうでもよかった。


「お前には、妹がいるってことは、昔から言


われていたけど、俺自信子供だったから、あ


まり、覚えてないし、


 正直、親父が二人で暮らしていることの理


由を嘘つくために言ってたと思っていたから、


信じてなかった。」