いつも、おもっていた。

あの人はどこにいったのだろう?って。


「パパ、にぃちゃん、ユゥもいしょにー」

幼い私は、たくさんの荷物を持った、

パパとお兄ちゃんを追いかけようとして、

小さい足を必死に動かすが、

それも声と一緒に止まった。

見たからだ

その、男の人と小さい子の
うつむいた顔から微かに流れている涙を。



ジリリリイ リリリリリ
アラームの音に気づいて

まだ瞼の重い目を頑張ってあけて、

起きるとそこは異世界、ってことはなく、

自分の部屋だった。

今日は高校の入学式。

さぁ、早くでよう

遅刻する