今日は校外練習の日だから、クラスのホームルームが終わるとマネージャーは急いで準備をして先生の車で市民体育館に向かわないといけない。







部員はランニングを兼ねて市民体育館までは走って向かう。










私は今日に限って居残りでやらないといけない係の仕事があった。







(はあ...。今日は遅れて行くから歩いて行かないと。先生に言わなきゃ。)














私は職員室に行った。















「音〜?どうした?」















「あ、先生。今日居残りあるので部活遅れて行きます。」














「うん。分かった。」















「私だけ歩かなきゃ〜。先生迎え来てくれたりしませんか〜?(笑)」
















「来るわけないだろー、歩いて来いよ。」

















「ですよね。はーい。」













私は先生が迎えに来てくれることを、ほんの少し期待してみたけど、その期待は案の定、的はずれだった。
















放課後。




ホームルームが終わったあと、先生が私を呼び出した。













「居残りいつ終わるの?」













「んー、1時間くらいで終わります。」














「来れたら来る。迎え。」

















「え!!本当ですか!!」

















「来れたら、だからな?来なくてショックなんか受けるなよ。」











「はーい。」

















(先生来れないかもとか言ってなんだかんだ来てたりして〜〜。)



















係の仕事が終わり、そう思いながら学校を出て駐車場に向かった。

















でも、先生の車は無かった。










なーんだ。来れなかったんだ。















私は市民体育館へ向かう時も、すれ違う車を見ながら、もしかしたら先生が迎えに来てくれてるかもしれない、と少しだけ期待しながら歩いていた。






















車を見ながらしばらく歩いていくと、目の前に体育館が見えた。
















(はあ...。)

















ショックなんか受けるなよ。


って言われたけど、そりゃ少しくらいショック受けるでしょ。















体育館に入ると、いつも通りの練習風景。













いつものように先生は椅子に座って腕を組んで練習を見てる。














私はわざと、先生の前を横切って椅子に座った。















「おー、音。お疲れ。」













(お疲れ?それだけ。。)
















「どーも。お疲れ様です。」



















先生は軽い気持ちで、教師として、私が生徒だから、優しさで、「迎えに来る」なんて言ったのかもしれない。











だけど私は、自分だけ特別なんだって勝手に思い込んでた。









































校外練習の帰り。












マネージャーは先生の車で学校に戻る。













私はいつも助手席。











練習が終わり、車に乗り込む。












先生が、私の膝の上に、自分のバッグをポンッと乗せた。










(え...?)












私は先生を見つめてしまった。













「俺の荷物、音が持ってて。」










「は、はい...。」












(やばーーーい!!!幸せ!!!)












心の中で飛び跳ねた。











帰り道、先生と色々な話をしながら帰って、とても良い感じだったのに、ふとしたことがきっかけで一気に雰囲気が壊れた。













「これ最近買ったお気に入りの本。」







「へえ〜。分厚いですね。私だったら絶対読めない。」









その本はとても分厚くてとてもじゃないけど1ページ目でさえ読むのを諦めてしまうほど難しそうな本だった。














「音はさ、本読んだりするの?」














「しないですよ〜。本ってあんまり読む気にもならないです。」













「この本貸すから読んでこいよ。」














「いや、いいですよ。こんな分厚い本絶対読めないし、難しすぎて途中で読むの辞めちゃうと思う。」













「せっかくすすめてやってるのにと。音は、本読まないから成績も伸びないんじゃないのか?」












「本読むのって関係あります?」











「あるから言ってんだよ。」













「そんなお世話いいです。ちゃんと勉強してますから。」
















「あっそ。」






















「そんなお世話いいです。」

先生に対して、何でこんなこと言ったんだろう。

















学校に着く頃、
何だか先生は機嫌が悪い。












(はあ〜、私のせい。)
















先生は車を部室の前に止めると、荷物を下ろすために車を降りた。












その時先生は、感情任せに、車のドアを思いっきり閉めた。
















私は先生を怒らせてしまったみたい。


















その日の夜、今日の出来事が頭から離れなくてなかなか眠れなかった。