一時間目から調理実習はきつい…

「なぁなぁーかこってとしとどうなの?」

たまたま班が一緒になったそうしがニタニタしながらきいてくる

中丸 颯士(なかまるそうし)
今年から同じクラスで既に苦手な存在
明るくて面白いやつだけど調子にのってハメをはずすこともしばしば

「どうってなんにもないよ」

あたしはにんじんをきる手をとめずに答える

「てかさ、なんでいつもとしなの?」

そうしがあたしをからかうのはしんやもたまにあるけど大体としだった

「だってお互い否定しねえしさー」

いや、一応してるつもりなんだけどね…

「え、それだけなの…?」

さすがに続きがないもんだからあたしは手をとめて、視線をにんじんからそうしにうつす

「いや~ほんとはこいつがな~?」

さっきよりニヤニヤしながらいつの間にか遊びにきていたこうきを捕まえる

山田 康季(やまだこうき)
去年も今年も同じクラスでなかなか面白いやつ…?でもなんでかそうしによく絡まれてるいじられキャラでもある

「痛いって…」

苦笑いのまま少し嫌そうな顔をしてそうしの手を振りほどく

「で、こうきがなんなの?」

またにんじんを切り始める、、手伝ってよ…

「こいつがとしにきくからさ~」

「それ言うなってマジのやつ…!」

ちょっと焦ったように口止めする
もうこうなったら勝手に言わせとくか…
そうしもどこかへいっちゃった他のメンバーも、あたしはこのにんじんだけ片付けるからね!?
早足で先生のとこに調味料をもらいにいく

「だってとし、かこ好きなんだろ?」

そうし聞こえてる…
こうきも全部聞こえてるから…

「いや、ほんとそれマジなやつだから…」

きっと今あたし、顔が真っ赤なんだろうな…
なんだそのしょっぱい話…

勢いよく注いだ醤油が頬に散った