先生に声をかけられるギリギリまで考えて自己紹介はやっと完成した
「お疲れ様、もう今日は裏口からあがっていいわよ」
適当にありがとうございました、と呟き先にでていくしんやのあとからあたしはきちんとお礼をいって部屋をでた
少し暗くなった帰り道をふたり並んで歩く
こんな時だってしんやは歩く速さをあたしにあわせてくれる
無言の時間がどこか心地よかった
「ねぇ…これから忙しくなるね」
「そうだな」
「頑張ろうね、しんや」
「もちろん」
見上げたしんやはどこか遠くを見ていたけどとても穏やかに笑っていた
家では兄妹
学校では友達
ここでは、相棒…?
だんだん距離は近付くのに
あれだけ離れていたたぶんを埋めるくらいなのに
なのにあたしは何もできないまま
今の状況に満足してこのまま続けばって思ってて
なんて弱虫なんだろう
なんて意気地無しなんだろう
また伝わらないまま離れていくのかな
透き通った空を見上げる
よろしくね、相棒…
