「え!?女なの!?」
「え、まゆさんから…」
「聞いてないわよ!!」
狭くも広くもない部屋にプロデューサーの高梨さんの声が響く
かなとのお見舞いにいったけどあたしは無事(?)うつされず今日もピンピンしている
「やっぱまずいですかね…?」
苦笑いで返す
朝から蒸し暑い日曜日、あたしは隣町の少し小さめのある事務所にきていた
「…それであの魅力がでるなら全然!大歓迎よっ!」
「ありがとうございますっ!」
って半分勢いで決まった
それからメイクさんに連れられて個室へ
「どうでしょう、プロデューサー?」
男っぽくメイクをしてもらったあたしはさっきまで座ってた椅子にまた座る
「あー…まだ女っぽいわね~」
「あたし、これでいいと思います」
「え?」
あんまり人に顔を触られるのは気分よくないし、
「中性的なほうがいいかなって…」
「じゃあこれでいこうかしら」
あたしは頷く
どうせ数回しか活動しないならバレなければいいだけだし、
「白髪の子できました~」
となりの個室から少し明るめなメイクさんの声がきこえた
でてきた人は確かに白髪で、まああたしも髪色は青だから浮いてはないけど…
「えっ!しんや!?」
あたしの大声にびっくりしたしんやは片手で口元を覆ってるけど赤くなってる頬は隠せてない
「……悪いかよ…」
その格好でそれいってもそういうキャラにしかみえないよ…
苦笑いしているあたしを更に睨み付ける
「いいんじゃない…?」
笑いを含んだあたしの声がまだ気に入らないのか不満そうに顔を歪める
「じゃあ説明した通りによろしくね」
個室にふたり残され自己紹介の練習をしろとたのまれた
もちろん男らしく…
なかなか難しい気がする
でもしんやはあたしのことを少し男扱いしはじめて普段どれだけ優しくされていたのかよくわかった
「一応毎日女の子扱いしてくれてるんだ…」
「……悪い?」
「大変嬉しゅうございます…」