俺も盗み聞きってよくないと思うけどさ…

そこにはかことかなとがいた

「これ…誰?」

十分な間をあけてからかなとがかこの目の前に一枚の紙切れをつき出す
ラブレターか…?

「かこの持ってた紙でしょ…字が違う気がして…」

「その紙はその子にあげた」

「なんだよそれ…」

かこはいきなり純粋な疑問も持ち出した
おいおい…かなとが落ち込んでんのに

「なんであたしが持ってたってわかるの?」

「へ…?」

「その紙」

確かに俺はかこがその柄のメモ帳を持ち歩いてるのは委員会でみたから知ってるけどあまり接点のないかなとはどこでみたのだろう…?
なんか…落ち着かなくなってきた…
かなとの次の言葉を聞き逃さないように改めて息をひそめる
最悪の場合、俺はどうしよう…
でていってとめる?でもかこがもしオッケーしたら…

「かこが…好きだから、だろ…」

風が吹いた
揺れる髪の隙間から赤く染まったかこの顔がみえた

「あの日からずっと…好きだったから」

かなとが語ったあの日…

それは中学1年生の頃の夏休みの1日
バレー部に所属しているかなとはその日同級生のメンバー二人と第1体育館の掃除当番だった
だけどその二人はかなとをおいていつも通り群れて帰っていた俺たちに混ざって帰っていたんだ
その上大声でかなとの悪口をきかせる
うんざりしている俺たちの後ろにかこはいた
体育館の窓の側で突っ立っているかなとを見つけて叫んだんだ

『日向ぁぁぁぁ!!!!頑張れよっ!!』

そして満面の笑みをみせた…

「あの時本気で嬉しかったんだ…」

そこまでいうとかなとは息をはく
俺の前髪が風で揺れる

ゆらゆら、ゆらゆら…

「あたし、そんな…」

やっと口を開いたかこはきっと覚えてないんだろう
これ以上みてられない
俺はかくれているのをやめた