さっき引っ越した…

まだふわふわしてる
母さんが自分の家のように鍵をあけたこと
あやめを幼稚園に迎えにいくのが今日から俺の新しい父さんになる人ってこと
俺にもう一人妹ができること…
母さんはニコニコして教えてくれなかったけどそんなにサプライズなのか?

初めて入ったこの家はこれから俺も住む家
なんだか暖かい空気でいっぱいだった

「ただいま~」

俺らと同い年くらいの女の子の声がした
もしかして双子、になるのか…?
ゆっくり階段を降りて見たその後ろ姿は…

背中の半分にとどくくらいの長くて綺麗な黒髪をおろしている
背は女にしては少し高くて俺は少し負けそうで焦るくらい
キッチンに立つ俺の母さんと顔を少し赤くして楽しそうに話している

「しんや?降りてきた?」

「え、あ、うん」

母さんの視線をたどりゆっくりとした動きで振り返る
俺の、妹…


「「えぇぇぇぇえぇぇぇえええ!?」」


「ななななんでしんやぁ!?」

「こっちのセリフだよ!!」

お互いに混乱している俺たちをみて母さんは楽しそうに笑ってる

「今日からふたりは兄妹ね」

………っ!!!

「「○♯■◇〒%□▲♭@~!!!」」

まぁそこからお互い声にならない声で叫んだ

「はぁ…父さん教えてくれればいいのに…」

俺と同じく伝えられていなかったかこはすねたような顔で父親に文句をいっていた

「母さんもな…」

俺をみて申し訳なさそうに謝る母はとても嬉しそうに笑っていた

「さっ荷物あるでしょ?手伝うよ」

かこはもう切り替えているようで階段から俺を見下ろしている
相変わらずでさすがだなと思う

数分後
シャツの第一ボタンをあけてスカートから短パンに変えただけのかこが俺との部屋を仕切っているふすまを開く

「ここの家さ無駄に部屋多いから不思議だったんだよね」

俺の荷物の段ボールがガムテープでしっかり閉めてあるのを見てカッターナイフを探してきた

「この部屋あたしが掃除したんだよ」

そのドヤ顔は誉めてほしいってことか?

「あー凄い、綺麗綺麗」

「全然思ってないでしょ」

笑いながら俺にカッターを差し出す

「何したらいい?服?」

「あー適当に箱開けてくれる?」


こうして俺らの兄妹生活がはじまった

翌朝

今日は朝から名前が変わったことからかこの話までたくさんの人に聞かれた
正直めっちゃ疲れる…
ちょっと嬉しくもあるけど…

今朝はかこを起こしにいった素直に起きたけど機嫌が悪いのなんの
でも今は何もなかったかのように笑ってる
最高の笑顔で…
やっぱりあの笑顔が独り占めできないのがちょっと悔しい…

昼休み、なんとなく外の風が吸いたくて外階段を上った
目の前の渡り廊下…この時間は誰も通らないのに今は二人の人影が見える


なんだよ…あれ…