数分後

「かーこっ」

誰もいないバス停のベンチから目を真っ赤にしたかこが俺を見上げる
何でそんなに可愛んだよ…
焦るだろ…

「このレモンの炭酸さ俺飲んでみたんだけど超絶微妙だったわ、ん。」

「え…?」

かこは差し出したペットボトルを見つめる

「飲んでみ?微妙だから」

明るい声を意識しながら手渡す

「ありがと…」

少し笑いながら受けとる
蓋を開けず泣きはらした目元に冷えたペットボトルを当てた

「大分落ち着いた、ありがとう…」

「そっか、どういたしまして」

さっきから外に聞こえそうなくらい心臓がなってる
落ち着け…

「しんやは、優しすぎるよ…」

隣でぽつりと呟いたのが聞こえた

「でもよく考えたら誰にでも優しい…」

せっかく泣き止んだのにまた目を潤ませてうつむいたかこは続ける
かこが口を開くたび心臓が暴れる

「友達も多いしあたしの憧れだった…でもそれだけ届かなかった…」

夕日でできた二人の影がゆっくり伸びる
そろそろ夏だなーなんて考えて余裕ぶろうとした

「好きなんだよ?今もずっと…」

どくんっ