ドアを開けた瞬間、
「いらっしゃいませー!!!」と元気の良い陽気な声が店内に響いた。
それと同時に僕は、[糸瀬]という名字を探しだす。
ざっと9、10人いる店員のうち、彼女を探しだすのは意外にも容易だった。
糸瀬瑠璃という名の彼女は、思っていたよりもずっと美しかったから。
すぐに目がいったんだ。
頭の上の方にまとめた髪がよく似合っていた。
瑠璃色がかった彼女の瞳は、僕を吸い寄せた。
彼女と目があったその瞬間、僕の心臓はドクンと波打った。
そして彼女は僕らの方へ向かってきた。
「いらっしゃいませ。何名様ですか??」
優しそうな笑みを浮かべて、彼女はそう言った。
胸元には[糸瀬]と彫られた藍色のネームがキラリと光っていた。

・これが僕らの出会いだったね。もしも、もしも出会わなければ、僕らは哀しまないで済んだかな・