「そんなに軽く言われたら余計に腹立ちます!」


「そっか…… じゃあ、取りあえず菜々のとりまきにでもなるかな?」


「ええ―。なんですかそれ?」
 
 とりまきの事と呼び捨てと両方の意味なのだが……


「時田からはじまり、菜々の周りにいっぱい居るじゃん」


「とりまきを舐めないで下さい……」

 菜々は涙を堪えて下を向いた。

「どうした?」


「とりまきになるしか無かったんだから…… どうやって声かけていいか解らないし…… いつもクールで、いくら誘っても気にもしてくれないし…… 他の女の子に先越されたくなくて焦っちゃって…… とりまきだって必死なんだから……」

 菜々は堪えていた涙がポロポロと溢れ出してしまった。

 涙なんか見せたくなかったのに……


 遥人の手が、菜々の肩にまわりぎゅっと抱き寄せられた。


「ごめん…… じゃあ、今度からとりまきにも優しく声をかけようか?」


「そ、そうじゃないです!」


「じゃあどうすればいい?」


「そんな事分からないです…… どうすればいいかなんて何にも分からない……」


「簡単な事だと思うけどな?」


「簡単?」


「俺の事、好きって言えばいいんだよ」


 菜々の顔は真っ赤に熱くなった。