キーンコーンカーンコーン


「柚花!」


「結花!」


私に笑顔で声をかけてくれる彼女は、笹沼結花。

結花は、小さい頃から仲良くて私のことを私よりも分かってくれる大切な親友なんだ。


「そーいえば、例の彼まだ、家に来てるの?」


結花が、少し心配そうに質問してくる。


「うん。相変わらず。今日で1ヶ月になるよ」


「はははっ。彼もこりないわね〜」


「こりないっていうか、もう、やめて欲しいよ!」


「でも、彼、本当に柚花に用があるんじゃない?
ほらっ!彼ってまえ、駅でぶつかったとかいう……」


結花の言うとうり、用があるのかもしれない。

駅で、ぶつかった時……

「あれ、本当に彼だったのかな?」


「えっ!?」


あっ!思わず口に出してしまった。


「彼じゃないかもなの?」


結花が、不思議そうに質問してくる。


「うん。駅であった時の彼、すごく優しかった。
でも、アイツは正直意地悪。」


ほっぺを膨らませて言った。


「でも、それってさ、柚花が、自分の名前すら教えてくれないからかもよ。
相手はちゃんと自分のこと、相手に教えてるんだから。」

「………」

「一ヶ月も、毎日通ってくれてるんでしょ。そろそろちゃんと話してみたら?」


ちゃんと話してみる……か。

かんがえもしなかったな。

でも、いい機会かも。


「うん。そうだね結花。私。ちゃんと話してみる」


「うん。頑張れ!」