「わかったわかった。
まず……」

隼はしぶしぶ、私にコツを教えてくれた。


そしてもう1度やってみた。



「あー!!
おしい!今のはあと少しだったよね!?」


「うんそうだね。でも俺が教えてるんだから俺に勝てるわけないじゃん」


隼はそう言って呆れたように笑った。

あ……確かに。


でも、今のはほんとうにあと少しだった。


「俺そろそろ帰るね。
誘ってくれてありがと」

「あ、うん。今度は絶対勝つ!
玄関まで送るよ」


私は隼と玄関まで行った。

「じゃあまたね」

「うん、ばいばい。
気をつけて」

手を振る隼に手を振り返すと、みるみるうちに隼の姿は小さくなりいなくなった。


「ふぅ……」

部屋に戻りゲームを片付けていると、隼がゲームを忘れていることに気がついた。

あ…

隼忘れてる。

届けてあげなきゃ、まだ近くにいるよね?


私は慌てて家から飛び出ると、隼を探した。


けど、



「………いない」



もう姿はなかった。


そのかわり、お父さんの姿が見えた。


え、なんで……

こんな時間に…?


私はまた慌ただしく家に入り、自分の部屋に閉じこもった。