「なんかだめ、慣れない」


唇が離れた時に隼が言う。


「?」

なにが慣れないんだろう。

「優衣といると緊張して嬉しくなってかっこよくなれない。」


隼はそう言って恥ずかしそうに首の後ろに手を当てる。


「あははっ」


私はそれを聞いて笑ってしまった。


「な、なんで笑う」


「だって、やっぱり隼ばかだ!」

「?」

わけがわからない、と言った顔の隼。

「私だって隼といるとずっと緊張してるしドキドキするしいつもの私じゃないみたいに隼に可愛く見られたいって思ったりするよ?
慣れることなんて絶対ない、私は隼といることに慣れるなんてことはないよ
それに私は隼のこと誰よりもかっこいいっておもってるよ」


そんな隼にそう言って笑うが、自分の言ったことを思い返すとぶわっと恥ずかしくなり両手で顔を隠す。



「忘れて恥ずかしい」


「忘れませんねこれは」



指の間からちらりと隼を覗く。


「………優衣って煽るの上手。狙ってるの?」


すると隼は私の手を簡単に退けるとそう言ってまたキスをする。


「煽ってなんか………」


「煽ってる」


「知らないっ!」


私は顔を隠すために隼に抱きついた。

これなら顔見られないからね。


「もー……」



隼はそう言って私をぎゅっと抱きしめた。



隼の匂いは落ち着くなぁ。


隼の近くにいるだけで落ち着くのにこんなに近づいたらもうここから離れたくないって思う。

















それはきっと、贅沢なこと。