「やあ、調子はどうかね?」
私は振り返るとそこには軍事研究所所長がいた。
「順調に計画は進んでいます、間もなく起動させることが出来そうです」
「ホワイト・ソルジャー計画もいよいよ完成かな?」
所長は今迄の試作品を見ながらそう言った。
「ではもう一度ホワイト・ソルジャー計画の説明をして貰おう」
「はい、ホワイト・ソルジャー計画とは高性能なロボット、膨大な記憶力や学習能力を持ち、絶えず成長することが出来、エネルギー源を必要とせず、自己修復力に優れたロボットを作る事です」
「質問をいくつかしよう、自己修復力はどうやってするのかね?」
「人間の体の細胞の様にとても小さな機械が組み合わさってこのロボットになっておりその小さな機械一つ一つに全体の記憶があります、そうすることによって損傷を受けた場合でも機能が低下せず活動ができます。また外部から物質を取り込んで体内で物質を分解し組み合わせて修復できます」
「ではエネルギー源は不要かね?」
「不要とまではいきませんが、種類を選ばず何でも取り込んで分解し合成しエネルギー源にします、例えば空気や水です」
「成る程、特定のエネルギー源が必要でないなら良しとしよう。具体的に学習の限界は有るのかね?」
「戦術、重火器の使用方法は勿論、今迄の記憶から踏まえての判断、そして怒り、哀しみ、勇気、希望、命の大切さを学習できると思います」
「君の知的欲求や探究心には感心するよ」
「有り難う御座います」
「ところで今、開発中のロボットを見せてくれるかな?」
「はい」
私は配線に繋がれているロボットの前に所長を案内した。
「今回は少女タイプにしたのかね?」
「はい、成長して欲しいと願いを込めました」
「名前は有るのかね?」
「はい、<ミホ>と名付けました」
「そうか、良い名だ、ところで実戦にはいつ頃導入出来そうかね?」
「起動させてから学習時間を取りますので一年内を目標にしております」
「実戦に導入されれば我が軍も安泰だな、期待して待っているぞ」
所長はにこやかにそう言って研究室を出て行った。