●裕太&ミク


無言のまま 居酒屋オレンジを出て 車に乗り込む。

ミクは何も言えなかった。
だって、ミクだってレイのこと好きだったから。
あるときから裕太よりもレイが好きだった。
私は裕太がいちばん、なんて言えるはずもなかった。
言おうとすれば言えるかもしれない。でも、
今嘘なんてついたらすぐにバレてしまう。

嘘なんて通用しないんだ。




裕太は何も言えなかった。
だって、ミクの心の中に自分じゃない誰かがいること知っていたから。でもそれが同じグループのレイだとは知らなかった。

さっきオレンジでミクがレイのこと好きとは言ってない。
でも、いつか見に行けたら、って言われたミク。
頑張って隠そうとしたのかもしれないけど、戸惑いと嬉しさが垣間見えていた。

いままでミクのことおかしいって思ってたの、レイのこと好きだったからなのか。やっとわかった。そういうことだったのか。


~ミクの自宅~


いつもは家に入ってくる裕太が入ってこない。

ミク『送ってくれてありがとう』

ぎこちない言葉が口から出る。

裕太「ああ。」

裕太は出ていってしまった。

追いかければよかったのかもしれない。
でも何故かミクは座り込んでしまった。
そして何故か


涙が頬をつたう。




しばらくたって我に返る。

裕太はどこ?
ちゃんと話さないと。

裕太はいつもミクの家で喧嘩をしたら
屋上に出て夜景を眺めていた。、

もしかしたらそこにいるかもしれない!

ミクは駆け出していった。


~屋上~

ミク『裕太…』

裕太は遠くの夜景をみて言った。



「俺さ、ミクが俺じゃない誰かのこと好きかもしれないって、いや、俺じゃない人を好きになってるって知ってた。ずいぶん前から。でも離したくなくて、離れたくなくて、いつまでもミクと一緒にいたくて。言い出せなかった。」

ミク『…』

裕太「だから、ミクが好きそうな場所連れて行ったり、好きそうなものとかプレゼントしてた。どうにかしてミクの一番でいたかった。ミクの一番になりたかった。でもさ、よくよく考えたらどっか連れてったりなんかあげたりして変わるもんじゃないよな。好きなんて気持ちモノで変わるわけないよな。全然分かってなかった。ミクのこと。」

ミク『…ごめん』


裕太「ミクが幸せになればいい。俺は、俺は…」


ミク『…?』


裕太「俺はレイの次に、近くでミクのこと見守ってるから。幸せになれよ」


裕太は目に涙を溜めながらそう告げて、帰っていく。


ミク『裕太、。』

ミクは裕太を追いかける。

階段を降りていく裕太。

ミクは階段の踊り場で『裕太!!』と叫んだ

裕太「ついてきちゃだめだよ。ミクはもう俺のミクじゃない」

ミク『でも裕太…』

裕太「でもじゃない。もう違う。俺らはもうSTARのメンバー。友達でもない家族でもない、でもただのメンバーでもない。言葉に言い表せない素敵な関係になった。これからもよろしくな、ミク」

ミク『ありがとう』


裕太は階段を降りていった。

車に乗る音が聞こえ、最後にクラクションを1回
鳴らして帰っていった。