「まぁまぁ!土方君!
ゆっくり聞こう!ね!サクタ君!」


「嘘っていうのは、記憶のこと
無くしてるのは、一部分
あとは、山南さんの推察通り、元々知らないんです
隠し事は…私が女だということです」


笑われもしなければ、皆が呆れる


「どうせ、信じてくれないと思ってました」


胸元を開いて見せた


土方さんの頬が引き攣る


「出て行け」



「はい」





私は、屯所を出た


特に行くところなんてない



ひたすら歩いて

疲れて


森に腰掛けた





最初は、不便で未来に戻りたかった

今は… ココの方が居心地がいい


そう思えていただけに… 



ヤケクソに、自分が女だと言った




どうせ出て行けと言われるなら
早い方が傷が浅くてすむ





どちらにしても、皆をだました

私が、悪い人に他ならないんだから











グゥルルルル…



狼? 初めて見た…


めちゃくちゃ威嚇されてる


新選組に入った時、刀で命を落とすことは
想定したけど…狼は、想定外だなぁ


狼が真っ直ぐに私を見てた



綺麗な目







土方さんの目を思い出した