兎に角、面倒くさいってあの目  

佳乃は、一度もしなかった

佳乃の有り難みをしみじみ


「疑うようなら入隊無しでもいいんですけど
他に仕事探しますので」


「いや、怪しい奴は、そばに置いていた方が
監視しやすい」


そんなにハッキリ言われると
諦めがつく


かんじゃ = 怪しい奴


時代劇だと〝くせ者!であえ~〟の奴かな



「なんだ、言いたい事があるなら言え」

「かんじゃって、くせ者みたいなこと?」

「……そんなとこだ」

「そう わかった!」



山南さんが字を教えてくれるとかで
部屋に行く


「わ!本ばっかり!」

「読むのが好きでね」

「へえ」

「サクタ君 間者っていうのはね
味方のふりして敵が混ざってることだよ」

「くせ者と違うじゃん…」

「記憶がないって、本当?」

「はい」

「僕には、記憶がないというよりは
元々知らない
って、みえるんだけど?」


眼鏡かけてるだけあって、鋭い



「元々知らないのかも知れませんね
記憶がないので、答えようがありません」



「そうだね」



山南さんが笑ってくれて
ホッとした




しかし、嘘をつくと
やはり怪しい人物に見えるよね






「山南さん」


「なんですか」


「私、自分でここに入りたいって言ってませんから!どちらかといえば入れられたって
感じです!なのに、疑われるって
おかしくないですか?」


「クスクス そうだね」


何て穏やかな人…







この人なら…


信じてくれるかも