「山南さんの言う通りです
サクタは、ここを懐かしそうな目で見てますね それに…
やたら、楽しそうです」


案内を終えた斎藤君が、報告してくれた


「そうでしょう?不思議だよねえ」


「八木さんも知らないそうです」


池田屋で、彼が助けてくれなかったら
新選組は、壊滅していたかもしれない

暗闇で、テキパキと手当てをしたり

まるで…

誰に危険が及ぶのか知っていたようだと

永倉君が言った

蔵に閉じ込め山崎君に観察してもらった時

嬉しそうにしてる

と、聞いたとき


浮かんだのは、あの畑


八木さんでも、隊士でもない

誰かが作った畑



それに、ある期間だけ
食費が節約されていて


繕い物など、よそに頼まずにすんでいる


だが、女中をここに雇ったことがない


そんな記録がないのだ




サクタ君は、すぐに隊士らと仲良くなった

誰に聞くでもなく畑を耕し

繕い物や掃除、お茶など

兎に角、よく働いてくれる


「慣れたかい?」


声を掛けると


「皆さん、よくしてくれるので
すっかり馴染んだ気がします!」


おひさまのような笑顔で、そう言った




その日の幹部会議で、ここ数日の意見交換をすることにした





「サクタ君についてですけど」


「アイツ良い奴ですよ!」 と、原田君

「はい!私の看病を懸命にしてくれて!
おかげでもう元気です!」

「うん!俺も、もう起きれるし!」

沖田君と藤堂君

「特に怪しい動きはない」と、斎藤君

「永倉君は、何か?」

「あー、特にない」

「なんだよ、その言い方
なんか、あるみてぇじゃねえか」

「気のせいかもしれねえんだけど……」


永倉君がそう言い
後ろ頭を掻く、それから言いにくそうに


「俺、避けられてる」


「何したんだ」


「してねえ!わからないこととか聞けって
言っても、なんも聞いてこねえし
挨拶以外の会話をしないし!」


「よし!後で俺が一緒に行ってやろう!」





避けている?

なぜ?



それとなく気に掛けてみよう