こちら、恋愛同好会!




「えっと………。」



確か本校舎の一階に部室があるんだっけ?
一体どこにあるんだろう…。



「あっ、あった……。」



本校舎の渡り廊下の突き当たり。その右側に部室がありました。
元々は用具室か何かだったのでしょうか。
出入り口の引き戸の上にあるボードの上にセロテープで『恋愛同好会』と書かれた紙を貼ってあるだけの簡素な物で、いかにも突貫的というオーラが溢れていました。



これ、入っていいのかな……?



そんな疑問が頭をよぎりましたが、勇気を振り絞って引き戸をノックしてみました。
すると、部屋の中から声が聞こえました。



「どうぞー。」



僕は引き戸を開けて、部屋に入りました。
やはり用具室の名残が残っていて、部屋の隅には生物の授業で使う標本が並べられた棚があったり、ダンボールが積み重なられていました。
それらの道具を整理して、辛うじて確保されたスペースに小さめの長テーブルが置かれていて、それを囲むようにしてパイプ椅子が設置されていました。
そのパイプ椅子の1つには1人の女生徒が座っていました。



「こんにちは。君は……見学希望の1年生…だね!」



立ち上がって、満面の笑顔を僕に向けて、手を差し出してくれた女生徒を外見を一言で表すなら『美人』でした。
整った顔付きはモデルとして雑誌に載っててもおかしくないくらいで、艶のあるショートボブが蛍光灯の光で綺麗に輝いていました。



「私の名前は紫陽花 亜里沙《あじさい ありさ》。この恋愛同好会で部長をやっている2年生だよ。よろしくね!」



「あっ、はい!よろしくお願いします!」



僕は女生徒、もとい亜利沙さんが差し出した手を握り、軽い握手を交わしました。