キーンコーンカーンコーン
「あ、予鈴鳴っちゃったね。座ろ」
あたしは自分の席に座るよう、智菜を促した。
チラリと隣の席に座っている蛯原くんを少し気にしながら。
「じゃーね、沙綾。また後でね」
「うん!」
お見合いを終える期限まで、あと14日。
ちょうど2週間だ。
その2週間、毎日を楽しく過ごそう。
じゃないと、バレてしまったときに絶対……後悔する。
悲しくなっても、後悔だけはしたくないから。
蛯原くん、あなたを騙してしまって……。
「ごめんね」
あたしは誰にも聞こえないようにつぶやいて、授業の準備をしたのだった。
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